研究内容

研究概要

 本研究室では,主に,複合微粒子,マイクロカプセル,さらに粒子状のみな らずシート状など,様々な形状の複合材料の調製ならびに用途開発を行なっています。こ れらの材料は,構造や素材の組み合わせにより,多様な機能を発現できることから,化粧 品,食品,医薬品,農薬品や情報記録材料,建築土木材料などで幅広く利用されています。

マイクロカプセルの調製

 マイクロカプセルとは,大きさ(直径)が数μmから数百μm(1 μm= 1000分の 1 mm)の範囲にある微小容器の総称です。容器ですからマイクロカプセルの内部には,何か を入れることができる空間があります。いわば,ピンポン玉を1mm以下の大きさに縮めたよ うなものと考えればよいでしょう。 マイクロカプセルの内部の空間に入れられるものを芯物質といいます。固体, 液体,あるいは気体の状態でマイクロカプセルの中に閉じ込めることができます。芯物質を 取り囲む物質は,カプセル壁と呼ばれており,ポリマーが多く使われています。 これまでにカプセル化してきた例を挙げますと,難燃剤,触媒,蓄熱剤,抗 菌剤,顔料,フェロモン,食用油,生理活性物質,酵素,アルミフレーク,肥料,種子, 二酸化チタンスラリー,硬化剤,外部刺激応答性物質などがあります。

・外部刺激応答物質のカプセル化
・酵素のカプセル化
・生理活性物質のカプセル化
・医薬品のカプセル化(DDS用マイクロカプセル)
・硬化剤のカプセル化
・潜熱蓄熱剤のカプセル化 など

無機・有機複合微粒子の調製

 無機粉末と有機ポリマーからなる複合体微粒子,いわゆる機能性高分子の開 発が近年盛んに行われており,その応用分野は医療,塗料,農薬,印刷,電子材料分野な ど他方万に渡っております。用途の違いにより,無機物質がポリマー内部に分散した(内 部分散型)複合微粒子,またはポリマー表面を被覆した(被覆型) 複合体微粒子が望まれま す。例えば,内部分散型複合体微粒子では腐食の抑制等の特性を付加できます。
 本研究室 では,各種高分子ミクロスフェア調製法を利用して,「顔料,磁性体等の無機系物質との 複合体微粒子」を調製しております。

・重合トナー
・導電性スペーサー
・環境浄化用微粒子
・ツイストボール型
・電気泳動型デジタルペーパーへの応用に向けた複合体微粒子 など

生分解性・可食性材料の調製

 生分解とは,人体や環境中において微生物などの働きによって分解されるこ とをいいます。そのため,生分解性材料は人体や環境中には残留することがないため,安 全かつエコロジーな材料であり,近年,注目されてきております。主な(天然)生分解性高 分子をあげますと,デンプン,コーンスターチ,カードラン,デキストリン,アルギン酸, キチン,キトサンなどがあります。
 本研究室では,セルロース系の古紙繊維や先に示しました高分子などの天然 高分子などの天然有機物の複合化による,生分解性・可食性資材(容器・マイクロカプセル・ フィルム)の開発を行っております。

・古紙繊維を複合化した生分解性フィルム
・生分解性ポリマーを利用した低環境負荷型カプセル化の開発・耐水性を付与した古紙繊維/生分解性ポリマー複合材料の調製 など

廃棄物を利用した機能性微粒子の調製

 「リサイクル」「エコロジー」といった言葉が各産業で定着してずいぶん経 過しましたが,機能性材料を開発する場においては,それに「機能」を加え,むしろこれ を主体に考えなくては,ユーザーの要望を満たすことが難しくなってきています。しかし, その要望は徐々に増えつつあるので複合材料とその利用分野の開拓は将来的にもさらに発 展分野であると考えられます。
  本研究室では主に,プラスチックス,ガラス,古紙に注目し,セミケミカル リサイクルもしくは,マテリアルリサイクルによる,高付加価値な新規機能性複合材料の 調製技術と用途開発についての研究を行っています。

・固体粉末と廃プラスチックからなる複合体微粒子
・古紙繊維を利用した帯電性ファイバー・古紙繊維とポリマーの複合体微粒子
・古紙繊維を利用した生分解性資材
・ガラスフレークのカプセル化 など

ポリマー微粒子の粒径・構造制御

 懸濁重合法,その他各種重合法等におけるポリマー粒子の粒径制御を行っております。

・ループ型リアクターによるポリマー滴の分散挙動
・固体微粉末懸濁安定剤の安定化効果
・プログラマブル撹拌による粒径制御
・懸濁安定剤の多段階添加法,撹拌速度の多段階突変法による粒径制御 など